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【動画(11分20秒)】残業代が倍になる!? 割増賃金と付加金-松崎基憲弁護士

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  • 割増賃金の条件ルールが分かる
  • 残業代の1部を代替休暇とするルールが分かる
  • 残業代が倍になり得る付加金について分かる

割増賃金(労働基準法37条)について

労働者がある一定の労働時間を超えて働く場合、労働基準法では企業に対して普通より高い賃金を支払いなさいと命令しています。
最低でも25%割増です。

時間外労働と割増賃金について

種類支払う条件割増率
時間外
(時間外手当・残業手当)
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき25%以上
時間外
(時間外手当・残業手当)
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間等)を超えたとき25%以上(※1)
時間外
(時間外手当・残業手当)
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき(※2)50%以上(※2)
休日
(休日手当)
法定休日(週1日)に勤務させたとき35%以上
深夜
(深夜手当)
22時から5時までの間に勤務させたとき25%以上

※1:25%を超える率とするよう努めることが必要です。
※2:中小企業については、当分の間、適用が猶予されています。

図1にある通り、
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき、最低25%以上割増にする必要があります。
実際労働者が貰うのは125%以上の割増賃金を得られます。
また、時間外限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間等)を超えたとき、最低25%以上割増でいいのすが、※1の通り、25%を超える率とするよう努めてくださいという努力義務が決められています。この部分は違反してもペナルティーは無いのですが、努力するよう法律には書いてあります。
さらに時間外労働が増えていって、時間外労働が1ヶ月で60時間を超えたとき、最低でも50%以上の割増賃金を払いなさいというルールになっています。
ですが、中小企業については当面の間的ようが猶予されており25%以上でも良い。(働き方改革関連法によって2023年4月1日から中小企業も適用予定)

どのような企業が中小企業か?

割増賃金について中小企業の定義
出典:厚生労働省

ではどのような企業が中小企業か?といいますと、
図2にある通り、
小売業でいうと、資本金5,000万円以下、または、従業員が50人以下、このどちらかにあたる場合は中小企業ということになります。
また、サービス業、卸売業、その他についても図2の通りです。

休日労働と深夜労働の割増賃金

ついでに、休日労働と深夜労働の割増賃金も少しみていきますと、
休日労働の場合は、最低でも35%以上の割増
深夜労働は22時から5時までの間の労働のことを言いますが、最低でも25%以上の割増となります。
また、例えば、深夜労働(25%以上)で、時間外労働(25%以上)の場合には、25%プラス25%で50%以上の割増率になります。
休日労働(35%以上)で深夜勤務(25%以上)の場合は、最低でも60%以上の割増賃金が発生します。

代替休暇制度について

先ほどの、時間外労働が月60時間を超えた場合の50%以上の割増率について、
「時間外労働(25%以上)」から更に25%以上増えて50%以上になっているわけですが、その増えた25%分を別の有給休暇として(労働者を休ませることで)増えた25 %を払わなくても良いという制度があります。
これを「代替休暇制度」といっています。

ある労働者の働いた時間を図にしたもの
出典:厚生労働省

ある労働者の働いた時間を図にしたものです。

ある労働者の働いた時間を図にしたもの
出典:厚生労働省

この人は時間外労働をして、1.25倍の割増賃金をもらえます。

ある労働者の働いた時間を図にしたもの
出典:厚生労働省

そのまま時間外労働をし続けて、月45時間を超えてきた段階から、この会社の場合は月45時間を超えた際の努力義務として、1.25より高い1.3倍の割増賃金を払っているようです。

ある労働者の働いた時間を図にしたもの
出典:厚生労働省

更に時間外労働が増えて、月60時間を超えたところから1.5倍以上の割増賃金を支払わなければならないのですが、
この増えた部分(図右上のオレンジの部分)については、休暇にかえることで割増賃金を払わなくても良いというふうにすることができます。
また図右上緑色の部分も1.25を超える部分ですから、合わせて休暇にかえる事で増えた25%分を休暇に充てることで、その分の割増賃金を払わなくても良いということができます。
しかし、これは会社が勝手にできるという事ではなく、条件があります。
その条件とは、会社の代表と労働者の代表の間で、労使協定を結んでいる必要があるという事です。

その労使協定では4つの事を定めておく必要があり

1代替休暇の時間数の具体的な算定方法(割増賃金率を労働時間に換算)
2代替休暇の単位(半日も可能)
3代替休暇を与えることができる期限(2ヶ月以内)
4代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

会社側が勝手に決められるものでは無く、あくまで労使協定締結の上、労働者が割増賃金の上乗せ分、または、代替休暇を選ぶことができます。
また、あくまで125%を超えた部分のみ休暇に代替できます。

付加金で本当に残業代が倍になる!

ということで、働き方改革関連法によって、2023年4月1日より中小企業の猶予が撤廃され、125%から150%以上となるので、「残業代が倍になる?!」というお話でした。

と、言うと、 「125%から150%になるだけだから倍じゃないじゃないか。」 「中小企業だけで大企業は何も変化ないじゃないか。」 と思われるかもしれませんが、実は割増賃金だけでは無く、「付加金」という制度で、本当に倍になるという制度があります。

これは働き方改革関連法とは関係なく、既にある制度ですが、 実は、労働基準法には以下記載があります。

付加金
(付加金の支払)
第114条
裁判所は、・・・第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者・・・に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。
ただし、この請求は、違反のあった時から二年以内にしなければならない。

これは残業代を払わない会社に対して、労働者が裁判を起こして勝つ場合に、裁判所が会社に対して一種のペナルティとして、最大で未払割増賃金と同額で、訴えた労働者に入ります。
この付加金の率については、会社が悪い場合は最大の倍になることもあれば、会社はあまり悪く無いねと0という場合もあります。

判例1、日本マクドナルド

残業代未払事件の有名な例として、
日本マクドナルドの「名ばかり店長事件」では、残業代未払で会社を訴えた店長は、未払割増賃金約500万円を勝ち取ったのですが、それに加え、その半分の250万の付加金で、合計750万円を勝ち取った例があります。

判例2、歯科医

また、平成30年9月大阪地方裁判所、歯科医師の例では、
未払残業代約900万円の支払いにプラスし、裁判官はオーナーの態度が悪かったことから、悪質とし、付加金は未払残業代とほぼ同じ約800万円、合計約1,700万円払えという判決を出した例もあります。

まとめ

付加金の支払については裁判で勝訴する必要があります。

会社側は残業代を倍にして払うことがないように、労働者を雇う側はキチンと残業代を払っていく必要があります。


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